ライター・編集者の確定申告|原稿料の源泉徴収と還付
ライター・編集者の確定申告を、原稿料の源泉徴収のしくみと「払いすぎが戻る(還付)」流れからやさしく解説。経費にできるもの、消費税・インボイスの注意までまとめます。
ライター・編集者の確定申告は、「原稿料の源泉徴収」を理解するとぐっと分かりやすくなります。むずかしくありません。順番に見ていきましょう。
まず結論:払いすぎが戻ることが多い
原稿料は、支払いのときに所得税が天引き(源泉徴収)されていることがよくあります。これは「税金の前払い」。確定申告で必要経費や控除を引いて正しい税額を計算すると、前払いが多すぎた分が**戻ってくる(還付)**ケースが多いのです。
源泉徴収のしくみ
出版社・メディア・制作会社などが原稿料を支払うとき、一定の税率で所得税(と復興特別所得税)を差し引いて納めています。あなたの手取りは「天引き後」の金額です。年間の源泉徴収額は、支払元が出す支払調書や入金明細で確認できます。
経費にできるもの
年間の利益を入れると、所得税・住民税・保険料と手取りの目安がわかります。
消費税・インボイスの注意
売上が伸びて基準期間(2年前)の課税売上が1,000万円を超えると消費税の課税事業者になります。出版社・制作会社との取引でインボイスの登録番号を求められることもあります。
AIに自分の経費を整理させる(プロンプト)
実名・マイナンバー・口座番号は入れないでください。コピー後、手元のAIに貼り付けて使います。当サイトには送信されません。
源泉徴収の計算例
原稿料11万円(税抜10万円+消費税1万円)を請求した場合を考えます。
- 報酬と消費税を分けて書いた場合……源泉徴収の対象は10万円。10万円×10.21%=1万210円が引かれ、手取りは9万9,790円です。
- 総額11万円としか書かなかった場合……11万円が対象になり、11万円×10.21%=1万1,231円が引かれます。
請求書で報酬額と消費税額を分けて記載するだけで、手元に残る金額が変わります。1回の支払いが100万円を超える部分は20.42%になります。
支払調書が届かないとき
支払調書は、支払者が税務署へ提出する書類です。執筆者へ交付する義務はないため、届かないことも珍しくありません。届かなくても申告はできます。自分で作成した請求書の控えと、入金額がわかる通帳の記録を突き合わせれば、売上と源泉徴収税額を集計できます。
ライター・編集者の経費
- 取材の交通費・宿泊費・飲食費(取材相手との分)
- 参考書籍・雑誌・新聞・有料記事の購読料
- 資料としての映画・書籍・サブスク(業務との関連を説明できる範囲で)
- パソコン・タブレット・録音機器・カメラ
- 執筆用ソフト・校正ツール・クラウドストレージ
- 通信費・自宅の家事按分分
- 取材相手への手土産、打合せの飲食代
資料代は「業務のために必要だった」と説明できることが前提です。私的な趣味と重なるものは、按分するか、対象から外す判断も必要になります。
消費税とインボイスの実務
出版社やメディアは課税事業者であることが多く、インボイスの登録を求められる場合があります。登録すると消費税の申告が必要になりますが、登録を機に課税事業者になった人は2割特例で負担を抑えられることがあります。
源泉徴収税額の早見表
報酬から引かれる源泉徴収税額は、100万円以下の部分が10.21%、**100万円を超える部分が20.42%**です(復興特別所得税を含みます)。よくある金額をまとめました。
| 報酬額(税抜) | 源泉徴収税額 | 手取り |
|---|---|---|
| 10,000円 | 1,021円 | 8,979円 |
| 30,000円 | 3,063円 | 26,937円 |
| 50,000円 | 5,105円 | 44,895円 |
| 100,000円 | 10,210円 | 89,790円 |
| 300,000円 | 30,630円 | 269,370円 |
| 500,000円 | 51,050円 | 448,950円 |
| 1,000,000円 | 102,100円 | 897,900円 |
| 1,500,000円 | 204,200円 | 1,295,800円 |
100万円を超える場合は「(報酬額 − 100万円) × 20.42% + 102,100円」で計算します。
報酬額を入れると、源泉徴収税額と手取りをその場で計算します。
年末調整では精算されません
会社員が副業で原稿料を受け取っている場合、勤務先の年末調整では原稿料の源泉税は精算されません。年末調整は給与についての手続きだからです。
原稿料から引かれた源泉税を精算するには、自分で確定申告をする必要があります。給与の源泉徴収票と、原稿料の支払記録の両方を使って計算します。
引かれすぎた分を取り戻す手順
源泉徴収は「とりあえず一定率で先に引いておく」しくみなので、必要経費や所得控除を差し引いた本来の税額より多く引かれていることがよくあります。差額は確定申告で戻ってきます。
- 1年分の報酬と源泉税額を集計する……振込通知書や支払明細を月ごとに並べ、「報酬額」と「源泉徴収税額」の2列で合計します。
- 経費を集計する……取材費・書籍代・通信費など、事業のための支出をまとめます。
- 申告書に源泉徴収税額を記入する……集計した源泉税の合計を、申告書の該当欄に記入します。
- 還付先の口座を書く……計算した税額より源泉税の合計が多ければ、その差額が指定口座に振り込まれます。
支払調書が届かなくても申告はできます。自分の入金記録から集計すれば問題ありません(下の「支払調書が届かないとき」もあわせてご覧ください)。
税理士に相談すべきライン
源泉徴収と還付の関係が複雑、売上1,000万円前後で消費税の判断が必要、複数の取引先で集計が大変——こうした場合は税理士に相談すると安心です。
あわせて読みたい: ライター・編集者の開業手続きと請求書の書き方 / 個人事業主の経費 完全ガイド / 確定申告のやり方 完全ガイド
参考にした一次情報(出典)
本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。
よくある質問
原稿料からすでに引かれている税金は何ですか?
出版社やメディアが支払う原稿料・原稿執筆料は、支払いの段階で所得税(と復興特別所得税)が源泉徴収されていることがよくあります。これは「税金の前払い」で、確定申告で正しい税額と精算します。
なぜ確定申告で戻ってくる(還付)ことが多いの?
源泉徴収は経費を考えずに天引きされます。確定申告で必要経費や各種控除を差し引くと、本来の税額より前払いが多かった分が戻る(還付)ことが多いためです。源泉徴収された金額は支払調書や明細で確認しましょう。
ライターの経費には何がありますか?
取材費・交通費、書籍や資料代、パソコン・通信費(在宅なら家事按分)、カメラやソフト、打ち合わせの飲食などが代表的です。事業との関連を説明できることが前提です。
支払調書が届きません。申告できますか?
支払調書を執筆者へ交付する義務はないため、届かないことは珍しくありません。請求書の控えと通帳の入金記録があれば、売上と源泉徴収税額を集計して申告できます。
源泉徴収されていない取引先があります。
支払う側が個人で従業員を雇っていない場合など、源泉徴収の義務がないケースもあります。その分は確定申告で納めることになります。
取材で買った本や映画は経費になりますか?
業務のために必要だったと説明できる範囲で計上できます。私的な趣味と重なるものは按分するか、対象から外す判断も必要です。
個人事業主・法人の税務を、AIと無料ツールでやさしく。出典と更新日を明記し、税理士監修を進めています。
本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。