フリーランスエンジニアの手取り——単価からいくら残る?
月単価60万円でも手元に残るのは半分ほど。消費税・源泉徴収・社会保険・所得税を順に引いて、フリーランスエンジニアの実際の手取りを組み立てます。
「月単価60万円」と聞くと年720万円ですが、手元に残るのはその半分ほどです。何がどれだけ引かれるのかを順に見ていくと、単価の交渉や法人化の判断がしやすくなります。
単価から手取りまでの流れ
引かれるものは、大きく4つに分かれます。
- 経費……パソコン、通信費、コワーキング代など。手元からは出ていきますが、事業に必要な支出です。
- 消費税……課税事業者になると納税が必要です。
- 社会保険料……国民健康保険と国民年金。所得控除の対象ですが、支出であることに変わりはありません。
- 税金……所得税と住民税、個人事業税。
年間の利益を入れるだけ。所得税・住民税・事業税・保険料と手取りの目安がわかります。
会社員の年収と単純比較できない理由
会社員は健康保険・厚生年金の保険料を会社と折半しています。フリーランスは国民健康保険・国民年金を全額自分で負担します。加えて、有給休暇も賞与も退職金もなく、案件が途切れた月の収入はゼロです。
一般に「会社員の年収の1.2〜1.5倍がフリーランスの目安」と言われるのは、この差を埋めるためです。単価交渉では、額面ではなく手取りと働けない期間のリスクまで含めて考えると納得感のある水準が見えてきます。
消費税は「預かっているお金」
免税事業者のうちは、請求した消費税が手元に残ります。しかし売上が1,000万円を超えると2年後に課税事業者になり、納税が必要になります。単価が上がって年商が1,000万円に近づいてきたら、その分を使わずに置いておくと安心です。
インボイスの登録をした場合は、売上の規模にかかわらず課税事業者になります。登録を機に課税事業者になった人は、売上にかかる消費税の2割を納めればよい2割特例を使える場合があります。
保険料は住む場所で変わります
国民健康保険料は市区町村ごとに料率と上限額が異なります。同じ所得でも、自治体によって年間で数十万円の差が出ることがあります。国民年金は定額で、前納すると割引があります。
いずれも支払った全額が社会保険料控除の対象になるため、税額を計算するときは忘れずに反映してください。
手取りを増やす現実的な方法
- 青色申告の特別控除……最大65万円。追加の支出なしで課税対象を減らせます。
- 経費の計上漏れをなくす……自宅の家事按分、通信費、書籍、勉強会の費用など。
- 小規模企業共済・iDeCo……掛金が全額所得控除。ただし資金は長期間動かせません。
- 単価を上げる……税負担は増えますが、手取りの増え方はそれを上回ります。
法人化を考えるタイミング
利益が大きくなると、法人にして所得を分散したほうが有利になることがあります。ただし法人には設立費用、赤字でもかかる均等割、社会保険への加入義務、決算費用があります。これらを上回る差が出るかどうかが目安です。
年間の利益を入れると、個人のままと法人化した場合の負担を概算で比較します。
税理士に相談すべきライン
売上が1,000万円に近づいてきた、法人化を具体的に検討している、常駐案件で給与とみなされないか不安がある——こうした場合は税理士に相談すると安心です。判断を誤ると後から修正しにくい部分でもあります。
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参考にした一次情報(出典)
本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。
よくある質問
会社員の年収とどう比べればいいですか?
フリーランスには社会保険の会社負担分(労使折半の半分)がなく、有給や賞与もありません。単純に額面同士を比べるのではなく、手取りと働けない期間のリスクまで含めて比べるのが現実的です。
消費税は自分の売上になりますか?
免税事業者のうちは手元に残りますが、課税事業者になると納税が必要です。売上が1,000万円を超えると2年後に課税事業者になるため、その分を残しておく必要があります。
源泉徴収はエンジニアの報酬でもありますか?
システム開発の報酬は原則として源泉徴収の対象ではありません。ただし原稿執筆や講演として支払われる部分は対象になります。
経費を増やせば手取りは増えますか?
税金は減りますが、支出した金額のほうが大きいため手元のお金は減ります。事業に必要なものを漏れなく計上するのが正しい考え方です。
国民健康保険はいくらくらいですか?
市区町村によって計算方法が異なり、上限額にも差があります。所得が同じでも住む場所で変わるため、正確な金額は自治体のサイトでご確認ください。
法人にすると手取りは増えますか?
利益の規模によります。法人には均等割や社会保険料、決算費用がかかるため、一定の利益を超えないと手取りは増えません。シミュレータで概算してから検討してください。
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本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。