整体・リラクゼーションの消費税|課税になるもの・ならないもの
施術の売上に消費税がかかるかどうかは、施術の内容によって分かれます。1,000万円の判定、インボイス、簡易課税のみなし仕入率までやさしく解説します。
施術の仕事では、同じ「体をほぐす」仕事でも消費税の扱いが分かれることがあります。ここを取り違えると、納税額が大きく変わります。
課税になるもの・ならないもの
消費税には、政策的に課税しないと決められている「非課税取引」があります。医療の分野では、健康保険法などにもとづく療養の給付が非課税です。
| 施術の内容 | 消費税 |
|---|---|
| リラクゼーション・もみほぐし・疲労回復目的 | 課税 |
| エステ・美容目的の施術 | 課税 |
| 健康保険の療養費の対象になる施術 | 非課税 |
| 自費(保険外)の施術 | 課税 |
あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師といった国家資格にもとづく施術でも、保険を使う施術と自費の施術で扱いが分かれることがあります。「資格を持っているから全部非課税」ではありません。
1,000万円の判定に入るのは課税売上だけ
消費税を納める義務があるかどうかは、基準期間(原則として2年前)の課税売上高で決まります。ここで数えるのは課税売上だけで、非課税の売上は含めません。
保険の施術が多い治療院では、全体の売上が1,000万円を超えていても、課税売上は1,000万円以下という状態がありえます。売上を区分して記録しておかないと、この判定ができません。
売上と経費を入れると、本則・簡易・2割特例のどれが有利かがわかります。
非課税売上があると控除が制限されます
ここが見落とされやすい点です。本則課税では、売った分の消費税から仕入で払った消費税を差し引きます。しかし非課税の売上に対応する仕入の消費税は、原則として差し引けません。
つまり「非課税だから有利」とは限りません。保険の施術が中心の治療院で、施術ベッドや消耗品にかかった消費税を控除しきれない、ということが起こりえます。
インボイス登録をするかどうか
判断の軸は「お客さまが仕入税額控除を必要とするか」です。
個人のお客さまが中心のサロンでは、相手がインボイスを求めることはほとんどありません。この場合、登録しないという選択も現実的です。一方、企業の福利厚生として契約している、法人経由の施術がある、といった場合は求められることがあります。
登録すると売上が1,000万円以下でも課税事業者になり、申告と納税の義務が生じます。 料金が上がらないのに登録すると手取りが減るため、必要かどうかを先に確かめてください。
登録によって課税事業者になった場合の納税額を試算できます。
課税事業者になったときの計算
施術というサービスの提供は、簡易課税では**サービス業(第5種・みなし仕入率50%)**に区分されるのが一般的です。
ただし、化粧品やサプリメントの店販を行っている場合、仕入れた商品をそのまま売る部分は物販として別の区分になります。売上を分けて集計しておく必要があります。
簡易課税を使うには、原則として使いたい年が始まる前までに届出が必要で、いったん選ぶと2年間は変更できません。
売上を入れると、消費税を納める義務があるかと、なぜそう判定されるのかがわかります。
税理士に相談すべきライン
保険の施術と自費の施術が混在しているとき、課税売上高が1,000万円に近づいたとき、店販を始めたときは、税理士に相談すると安心です。
あわせて読みたい: 整体・サロンの開業と経費|設備と自宅の使い方 / インボイス制度の完全ガイド
参考にした一次情報(出典)
本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。
よくある質問
整体やリラクゼーションの施術に消費税はかかりますか?
疲労回復やリラクゼーションを目的とした施術は、原則として消費税の課税対象です。一方、健康保険の療養費の対象になる施術は非課税とされています。
国家資格を持っていれば非課税になりますか?
資格の有無だけで決まるものではなく、その施術が健康保険の療養費の対象になるかどうかで判断されます。同じ施術者でも、保険を使う施術と自費の施術で扱いが分かれることがあります。
課税と非課税が混ざっている場合はどうしますか?
売上を区分して記録しておく必要があります。また非課税の売上があると、本則課税では仕入にかかった消費税の控除が制限されることがあります。
1,000万円の判定には何を含めますか?
判定に入るのは課税売上です。非課税の売上は含めません。物販など他の課税売上がある場合は合計します。
簡易課税のみなし仕入率は何%ですか?
施術というサービスの提供はサービス業として第5種に区分され、みなし仕入率は50%になるのが一般的です。物販を併せて行う場合は区分が変わります。
化粧品やサプリを店販しています。区分は同じですか?
仕入れた商品をそのまま売る物販は小売業などに区分され、施術とは別のみなし仕入率になります。売上を分けて集計しておく必要があります。
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本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。