税金AI ロゴ税金AI
ガイド税理士監修前

農業の消費税|軽減税率8%と簡易課税はどちらが有利?

農産物の販売は軽減税率8%。農業の簡易課税は第2種と第3種に分かれます。本則課税とどちらが有利か、インボイスと農協への委託販売の扱いまでやさしく解説します。

税金AI 編集部 公開 2026年9月2日更新 2026年9月5日

農業の消費税は、売るものによって税率も区分も変わるのが特徴です。「うちは8%?10%?」「簡易課税は何種?」という疑問を順に整理します。

農産物の販売は軽減税率8%

人の飲用・食用に供される農産物(米、野菜、果物、畜産物など)の販売は**軽減税率8%です。ただし、同じ農業でも次のものは標準税率10%**になります。

売るもの税率
米・野菜・果物・畜産物など、食用のもの8%
花き・観賞用の植物10%
飼料用・肥料用のもの10%
種苗(食用でないもの)10%
農作業の受託、農機具の貸付け10%

なお、酒類は飲食料品から除かれるため10%です。自分で作った米で日本酒を造って売る場合などは分けて考えます。

簡易課税のみなし仕入率は第2種と第3種に分かれる

簡易課税を選ぶと、売上にかかる消費税額にみなし仕入率を掛けて納税額を計算します。農業は次のように分かれます。

区分みなし仕入率対象
第2種80%飲食料品の譲渡にあたる部分(食用の農産物の販売)
第3種70%それ以外の農業(花き、飼料用、農作業受託など)

食用の農産物を売る部分は第2種になるため、第3種より納税額が小さくなります。売るものが混ざっている場合は区分して計算します。区分が難しいときは、不利な(低い)ほうの率でまとめる方法もあります。

簡易課税と本則課税、どちらが有利?

大まかな傾向は次のとおりです。

  • 本則課税が有利になりやすい……トラクターやハウスなど設備投資が大きい年。支払った消費税をそのまま差し引けるため。
  • 簡易課税が有利になりやすい……経費が少なく、売上に対する仕入の割合が低い年。

農業は資材や燃料の仕入も多いため、年によって答えが変わります。実際の金額で比べるのが確実です。

無料・概算
簡易課税 vs 本則課税 シミュレータ

売上と仕入を入れると、本則・簡易・2割特例の納税額を比べられます。軽減税率8%の混在にも対応しています。

簡易課税は2年しばりがあります
簡易課税を選ぶには事前の届出が必要で、原則2年間は変更できません。大きな設備投資を予定している年は、先に見通しを立てておきましょう。

農協や市場に出荷している場合

農協や卸売市場に委託して販売する一定の場合は、生産者が適格請求書を交付しなくても、買手が仕入税額控除を受けられる特例があります。誰がどの書類を出すかが通常の取引と異なるため、出荷先に確認しておくと確実です。

直売所やネット販売、飲食店への直接販売など、自分が相手に請求書を出す取引では、通常どおりインボイスの登録番号や税率ごとの区分が必要になります。

免税事業者のままでいるか、登録するか

基準期間(2年前)の課税売上が1,000万円以下なら、原則として免税事業者です。インボイスの登録をすると、売上の大きさにかかわらず課税事業者になります。

判断の目安は取引先が誰かです。農協や消費者への直売が中心なら影響は小さく、飲食店や小売店など課税事業者との取引が多いなら登録を求められることがあります。登録を機に課税事業者になった場合は、納税額を売上の消費税の2割にできる2割特例が使えることがあります。

無料・数問
インボイス2割特例 判定

対象かどうかと、納税額の目安を数問で確認できます。

記帳で気をつけること

軽減税率8%と標準税率10%が混ざるため、売上も仕入も税率ごとに分けて記録する必要があります。会計ソフトの税区分を正しく設定し、請求書やレシートにも税率ごとの区分が残るようにしておきましょう。

税理士に相談すべきライン

売るものが多岐にわたって区分が難しいとき、大きな設備投資の前に簡易課税と本則課税を選ぶとき、農協以外への販路を広げるときは、税理士に相談して方針を決めておくと安心です。

あわせて読みたい: 農業の確定申告|収入の計上・経費・自家消費インボイス制度 まるわかりガイド

参考にした一次情報(出典)

本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。

よくある質問

農産物の販売は消費税8%ですか、10%ですか?

人の飲用・食用に供される農産物の販売は軽減税率8%です。一方、花き・観賞用の植物、飼料用、種苗など食用でないものの販売は標準税率10%になります。

農業の簡易課税のみなし仕入率は何%ですか?

飲食料品の譲渡にあたる部分は第2種で80%、それ以外の農業は第3種で70%です。同じ農業でも、売るものによって区分が分かれる点に注意が必要です。

簡易課税と本則課税はどちらが有利ですか?

設備投資が多い年は仕入税額が大きくなるため本則課税が有利になりやすく、経費が少ない年は簡易課税が有利になりやすい傾向があります。金額はシミュレータで比べられます。

農協に出荷している場合、インボイスはどうなりますか?

農協や卸売市場に委託して販売する一定の場合は、生産者がインボイスを交付しなくても買手が仕入税額控除を受けられる特例があります。取引の形によって扱いが変わるため、出荷先に確認しましょう。

売上が1,000万円以下でも消費税を納めますか?

基準期間(2年前)の課税売上が1,000万円以下なら原則として免税事業者です。ただしインボイスの登録をすると、売上にかかわらず課税事業者になります。

軽減税率と標準税率が混ざる場合はどう記帳しますか?

売上も仕入も税率ごとに分けて記録します。帳簿と請求書に税率ごとの区分を残しておく必要があるため、会計ソフトの税区分を正しく設定しておきましょう。

執筆税金AI 編集部編集部

個人事業主・法人の税務を、AIと無料ツールでやさしく。出典と更新日を明記し、税理士監修を進めています。

本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。

関連する記事