民泊の確定申告|不動産所得ではなく雑所得になる理由
民泊の所得は不動産賃貸と違い、原則として雑所得(規模により事業所得)です。年間180日の上限、経費の按分、清掃代行やプラットフォーム手数料の扱いまでやさしく解説します。
民泊は「部屋を貸す」ように見えて、税金の扱いは不動産賃貸とかなり違います。まずそこを押さえると、その後の経費の考え方もすっきりします。
民泊は不動産所得にならない
アパートやマンションを貸す大家さんの収入は不動産所得ですが、民泊は違います。単に部屋を貸すのではなく、宿泊というサービスの提供を伴うためです。
| 通常の賃貸 | 民泊 | |
|---|---|---|
| 所得区分 | 不動産所得 | 雑所得(規模により事業所得) |
| 提供するもの | 部屋の使用 | 宿泊サービス(清掃・備品・接客を含む) |
| 契約期間 | 数か月〜数年 | 1泊〜数泊 |
一般には雑所得として扱われ、規模や継続性によっては事業所得になります。
雑所得と事業所得の違いは大きい
事業所得になれば、青色申告特別控除(最大65万円)や赤字の3年繰越しが使えます。雑所得ではどちらも使えません。
分かれ目は「継続的・反復的に、事業として営んでいるか」です。帳簿をつけている、複数の物件を運営している、生活の主な収入になっているといった実態があるかで判断されます。判断に迷う規模なら、税務署や税理士に確認しておくと安心です。
年間180日の上限
住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)にもとづく民泊は、人を宿泊させる日数が年間180日以内に制限されています。これを超えて営業する場合は、旅館業法の許可など別の枠組みが必要です。
売上は手数料を引く前の金額
プラットフォームからの入金は、手数料が差し引かれた手取りです。
- 売上……ゲストが支払った宿泊料(手数料を引く前)
- 支払手数料……プラットフォームの手数料、決済手数料
手取りだけを売上にすると、売上も経費も小さく計上されてしまいます。精算書の内訳を見て分けて記帳しましょう。清掃料をゲストから受け取っている場合も、受け取った分は売上に含めます。
経費は「面積 × 稼働日数」で按分する
自宅の一部を民泊に使っている場合、民泊に使っている面積の割合と実際に稼働した日数の割合を組み合わせて按分するのが一般的です。
例として、家全体100㎡のうち民泊用が30㎡、年間の稼働が120日だったとします。
- 面積の割合 = 30㎡ ÷ 100㎡ = 30%
- 稼働の割合 = 120日 ÷ 365日 = 約33%
- 按分の割合 = 30% × 33% = 約10%
家賃・水道光熱費・通信費などにこの割合を掛けます。物件まるごとを民泊専用にしている場合は按分不要で、全額が経費になります。
民泊ならではの経費
- 清掃代行費……外注工賃または支払手数料
- 消耗品費……アメニティ、リネン、洗剤、備品の補充
- 水道光熱費・通信費……按分または専用なら全額
- 修繕費……原状回復、設備の修理
- 損害保険料……民泊向けの保険
- 広告宣伝費……掲載料、写真撮影
- 減価償却費……建物、エアコン、家具・家電(10万円以上のもの)
寝具・家電・清掃用品など、身近な支出を品目名で検索できます。
家具・家電の減価償却
ベッド、ソファ、テレビ、エアコンなど10万円以上のものは資産として減価償却します。10万円未満なら買った年に全額です。中古で揃えた場合は耐用年数を短く見積もれることがあります。
取得価額と耐用年数を入れると償却額を年ごとに計算。中古資産にも対応しています。
住宅ローン控除への影響
自宅の一部を民泊にすると、居住用の部分の割合が下がるため、住宅ローン控除の額に影響することがあります。控除を受けている物件で民泊を始める場合は、事前に確認しておくと安心です。
税理士に相談すべきライン
複数物件に広げるとき、雑所得か事業所得かの判断に迷うとき、住宅ローン控除を受けている物件で始めるときは、税理士に相談しておくと安心です。所得区分によって使える制度が大きく変わるため、早めの確認が効きます。
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参考にした一次情報(出典)
本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。
よくある質問
民泊の所得は不動産所得ですか?
原則として不動産所得にはなりません。単に部屋を貸すのではなく、宿泊というサービスの提供を伴うためです。一般には雑所得として扱われ、規模や継続性によっては事業所得になります。
雑所得と事業所得では何が変わりますか?
事業所得なら青色申告特別控除や損失の繰越しが使えますが、雑所得では使えません。帳簿をつけ、継続的・反復的に営んでいる実態があるかが判断の分かれ目になります。
年間180日の上限とは何ですか?
住宅宿泊事業法にもとづく民泊は、人を宿泊させる日数が年間180日以内に制限されています。これを超えて営業する場合は旅館業法の許可など別の枠組みが必要です。
自宅の一部を民泊にしている場合、経費はどう計算しますか?
民泊に使っている面積の割合と、稼働した日数の割合を組み合わせて按分するのが一般的です。あとから説明できる基準を決め、根拠を残しておきましょう。
プラットフォームの手数料は経費になりますか?
なります。売上は手数料が引かれる前の宿泊料で計上し、手数料は支払手数料として経費にします。手取りだけを売上にすると、売上も経費も小さく計上されてしまいます。
住宅ローン控除に影響しますか?
居住用の部分の割合が下がると、控除額に影響することがあります。自宅の一部を民泊にする場合は、事前に確認しておくと安心です。
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本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。