不動産賃貸(大家)の確定申告と減価償却
不動産オーナーの確定申告を、不動産所得の計算・経費・減価償却・事業的規模(5棟10室)と青色65万まで解説。AIへの相談プロンプトつき。
家賃収入がある大家さんの確定申告は、減価償却と経費の理解がカギです。
不動産所得とは
家賃収入から必要経費を引いたものが不動産所得です。事業所得とは別区分で計算します。
経費になるもの
- 建物の減価償却費(土地は対象外)
- ローンの利息、固定資産税、都市計画税
- 管理費・修繕費・保険料・仲介手数料
建物の取得価額と耐用年数を入れると、償却スケジュールの目安がわかります。
事業的規模(5棟10室)と青色65万
おおむね5棟10室以上だと事業的規模とされ、青色申告特別控除65万円や専従者給与が使いやすくなります。
消費税
居住用の家賃は消費税が非課税、事業用(店舗・事務所)は課税です。
事業的規模かどうかの判定
いわゆる「5棟10室」が目安とされています。独立した家屋ならおおむね5棟以上、アパートやマンションならおおむね10室以上が事業的規模の判断のめやすです。事業的規模になると、次の点が変わります。
- 青色申告特別控除が最大65万円になります(規模に満たない場合は10万円)。
- 家族への専従者給与を経費にできます。
- 賃料が回収できなくなった場合の処理が、その年の必要経費として扱えます。
- 建物を取り壊したときの損失を、全額その年の経費にできます。
建物と土地を分けて考える
購入代金のうち土地の部分は減価償却できません。建物部分だけが償却の対象です。契約書で内訳が分かれていない場合は、固定資産税評価額の比率などで合理的に按分します。
建物の法定耐用年数は構造によって異なり、鉄筋コンクリート造の住宅で47年、木造で22年などと定められています。中古で購入した場合は、経過年数に応じた短い年数で償却できます。
修繕費と資本的支出の違い
同じ工事でも、扱いが分かれます。
- 修繕費……原状回復や維持管理のための支出。その年の経費になります(壁紙の張り替え、設備の修理など)。
- 資本的支出……価値を高めたり使用可能期間を延ばしたりする支出。資産として計上し、減価償却します(間取りの変更、グレードアップを伴う改装など)。
判断が難しい場合の取扱いも定められていますが、金額が大きい工事は税理士に確認するのが安全です。
収入に計上するもの
- 家賃……原則として契約で定めた支払日に計上します(実際の入金日ではありません)。
- 礼金・更新料……受け取った時点で収入になります。
- 敷金・保証金……預かっているだけなので収入になりません。ただし返還しないことが確定した部分は、確定した年の収入になります。
- 共益費・管理費……家賃と同様に収入として計上します。
ローンの利息と赤字の扱い
借入金の返済のうち利息部分は経費になりますが、元本は経費になりません。不動産所得が赤字になった場合は他の所得と損益通算できますが、土地を取得するための借入金の利息に対応する部分は通算の対象から除かれます。
建物の減価償却は「定額法」だけ
「家賃収入の減価償却は定額法?定率法?」はよくある疑問ですが、建物については定額法しか選べません。
| 資産 | 使える償却方法 |
|---|---|
| 建物 | 定額法のみ(平成10年4月1日以後に取得したもの) |
| 建物附属設備・構築物 | 定額法のみ(平成28年4月1日以後に取得したもの) |
| 器具備品・車両など | 定額法(届出をすれば定率法も選べる) |
建物附属設備とは、エレベーター・給排水設備・電気設備・冷暖房設備など、建物と一体で使う設備のことです。これらも取得時期によっては定額法に限られます。
個人事業主の法定の償却方法は定額法です。定率法を使いたい場合は「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を期限までに提出する必要がありますが、上のとおり建物には適用できません。
取得価額・耐用年数・取得月を入れると、定額法・定率法の償却額を年ごとに計算します。
事業的規模だと何が変わる?
「5棟10室」の基準(独立家屋なら概ね5棟以上、アパート等なら概ね10室以上)を満たすと事業的規模として扱われ、次の点で有利になります。
| 事業的規模 | 事業的規模でない | |
|---|---|---|
| 青色申告特別控除 | 最大65万円 | 最大10万円 |
| 専従者給与 | 使える | 使えない |
| 賃貸用資産の取壊し・除却の損失 | 全額を必要経費に | 所得を限度に |
| 回収不能な家賃 | その年の必要経費に | 収入計上した年に遡って訂正 |
駐車場だけを貸している場合は「5台でおおむね1室」として数える取扱いがあります。判定に迷う規模のときは、税務署や税理士に確認しておくと安心です。
税理士ライン
物件が複数ある、相続した不動産、売却を検討——こうした場合は税理士に相談すると安心です。
あわせて読みたい: 大家の修繕費と資本的支出——その工事はどちらになる? / 個人事業主の経費 完全ガイド / 減価償却とは(用語)
参考にした一次情報(出典)
本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。
よくある質問
不動産所得の経費には何がある?
建物の減価償却費、ローンの利息、固定資産税、管理費、修繕費、保険料、仲介手数料などが経費になります。土地分のローン利息など一部に制限がある点に注意です。
事業的規模だと何が変わる?
おおむね「5棟10室」以上の規模だと事業的規模とされ、青色申告特別控除65万円や専従者給与などが使いやすくなります。規模未満でも青色申告自体は可能ですが特典が限られます。
家賃に消費税はかかる?
居住用住宅の家賃は消費税が非課税です。一方、事業用(店舗・事務所)の賃料は課税対象です。用途で扱いが変わります。
5棟10室に満たないと青色65万円控除は使えませんか?
事業的規模と認められない場合、青色申告特別控除は10万円が原則です。事業的規模になると65万円控除や専従者給与が使えるようになります。
修繕費と資本的支出はどう違いますか?
原状回復や維持管理のための支出は修繕費としてその年の経費になり、価値を高めたり使用可能期間を延ばす支出は資産として減価償却します。金額の大きい工事は税理士への確認をおすすめします。
敷金は収入になりますか?
預かっているだけなので収入になりません。ただし返還しないことが確定した部分は、確定した年の収入として計上します。
家賃収入の減価償却は定額法ですか、定率法ですか?
建物は定額法しか選べません(平成10年4月1日以後に取得したもの)。建物附属設備・構築物も平成28年4月1日以後に取得したものは定額法のみです。器具備品や車両は届出をすれば定率法も選べます。
事業的規模になると何が変わりますか?
青色申告特別控除が最大10万円から最大65万円になり、専従者給与が使えるようになります。賃貸用資産の取壊し損失を全額必要経費にできる点なども変わります。
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本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。