飲食店の確定申告|原価・まかない・内装の減価償却
飲食店の確定申告をやさしく解説。売上原価の出し方と棚卸、まかないが給与課税されないライン、内装や厨房機器の減価償却、現金商売の記帳のコツまでまとめます。
飲食店の確定申告は、食材の在庫とまかない、内装の減価償却でつまずきやすいところがあります。個人でお店をやっている方に向けて、順に整理します。
売上原価は「使った分」だけ
仕入れた金額がそのまま経費になるわけではありません。経費(売上原価)になるのは実際に使った分です。
売上原価 = 期首の在庫 + その年の仕入 − 期末の在庫
たとえば年始の在庫が20万円、1年の仕入が600万円、年末の在庫が30万円なら、売上原価は「20 + 600 − 30 = 590万円」です。年末に**冷蔵庫・冷凍庫・倉庫の在庫を数える(棚卸)**必要があります。
まかないの扱い
従業員に出すまかないは福利厚生費として経費になります。ただし、次の条件を満たさないと従業員の給与として課税される場合があります。
- 従業員が食事の価額の半分以上を負担していること
- 事業主の負担が一定額以下であること
まかない代を給与から引いている場合は、その金額がわかるようにしておきましょう。なお、事業主本人の食事は経費になりません(家事費)。
内装・厨房機器の減価償却
10万円以上のものは資産として計上し、減価償却します。
- 厨房機器・製氷機・エアコン・レジ……器具備品などとして耐用年数にわたり償却
- 賃借した店舗の内装(造作)……造作の種類や賃借期間をもとに耐用年数を見積もる扱いがあります
- 看板……10万円以上なら構築物などとして償却
青色申告の中小事業者なら、30万円未満のものを買った年に全額経費にできる特例(年間300万円まで)が使えます。中古の厨房機器を買った場合は耐用年数を短く見積もれることがあります。
取得価額と耐用年数を入れると償却額を年ごとに計算。中古資産にも対応しています。
飲食店ならではの経費
- 仕入……食材、飲料、酒類
- 消耗品費……割り箸、おしぼり、包装資材、洗剤
- 水道光熱費……店舗分は全額。自宅兼用なら家事按分
- 地代家賃……店舗の家賃、駐車場代
- 広告宣伝費……グルメサイトの掲載料、チラシ、SNS広告
- 支払手数料……キャッシュレス決済の手数料、予約サイトの送客手数料
- 給料賃金……アルバイト・パートへの給与(源泉徴収が必要)
- リース料……おしぼりやマットのレンタル
制服・ユニフォーム、清掃費、日用品など、迷いやすい支出を品目名で検索できます。
現金商売の記帳
飲食店は現金のやりとりが多いため、日々の売上を記録することが特に大切です。レジのデータや売上日報を残しておきましょう。
レジの現金が合わないときは、原因を確認します。原因がわからない不足は雑損失として処理できますが、私的に持ち出した分が原因なら事業主貸になります(経費ではありません)。
開店前にかかった費用
物件探し、内装の打ち合わせ、開店前の研修や仕入れの準備など、開業前にかかった費用は開業費として繰延資産にできます。好きな年に好きな金額を経費にできるため、利益が出た年に多めに償却するという使い方もできます。
ただし10万円以上の資産(厨房機器など)や、開店後に売る食材の仕入れは開業費に含めず、それぞれの処理をします。
税理士に相談すべきライン
複数店舗に広げるとき、法人化を検討するとき、売上が1,000万円を超えて消費税の申告が始まるときは、税理士に相談して体制を整えておくと安心です。飲食店は現金・在庫・人件費が絡むため、早めに帳簿の型を作っておくと後が楽になります。
あわせて読みたい: 飲食店の消費税|イートインとテイクアウトの8%と10% / 個人事業主の経費 完全ガイド
参考にした一次情報(出典)
本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。
よくある質問
飲食店の売上原価はどう計算しますか?
「期首の在庫 + その年の仕入 − 期末の在庫」で計算します。仕入れた金額がそのまま経費になるのではなく、実際に使った分が原価になります。年末に食材や飲料の在庫を数える必要があります。
まかないは経費になりますか?
従業員に出すまかないは福利厚生費として経費になります。ただし従業員が食事代の半分以上を負担し、事業主の負担が一定額以下でないと、給与として課税される場合があります。事業主本人の食事は経費になりません。
内装工事の費用はいつ経費になりますか?
10万円以上なら資産として計上し、減価償却します。賃借した店舗に施した造作は、その造作の種類や賃借期間をもとに耐用年数を見積もる扱いがあります。
現金商売で気をつけることは何ですか?
日々の売上を記録し、レジのデータや売上日報を残すことです。現金の残高が合わない場合は原因を確認し、私的な支出が原因なら事業主貸として処理します。
開店前にかかった費用はどうなりますか?
開業前の準備にかかった費用は開業費として繰延資産にでき、好きな年に好きな金額を経費にできます(任意償却)。10万円以上の資産や食材の仕入れは開業費に含めず、それぞれ処理します。
お店の家賃や水道光熱費は全額経費になりますか?
店舗専用なら全額が経費になります。自宅の一部を店舗にしている場合は、使っている面積などの割合で家事按分します。
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本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。