会計ソフトのAI機能とどう付き合うか|任せる範囲を決める
会計ソフトの自動仕訳は便利ですが、そのまま信じると誤りが積み上がります。どこまで任せて、どこを自分で見るのかをやさしく整理します。
会計ソフトの自動仕訳は、記帳の負担をはっきり軽くしてくれます。ただしそのまま信じると、誤りが静かに積み上がります。任せる範囲を決めておくのが安全です。
どういう仕組みで推測しているのか
多くのソフトは、銀行やカードの明細の摘要と、過去にあなたが登録した仕訳から科目を推測します。
つまり、
- 最初に間違えた科目を登録すると、それを学習し続ける
- 摘要が同じでも中身が違う取引は見分けられない
- 新しい種類の取引は推測の根拠がない
ということが起こります。「AIが賢く判断している」というより、あなたの過去の入力を真似していると考えたほうが実態に近くなります。
間違えやすい取引
| 場面 | 何が起きるか |
|---|---|
| 同じ店で仕事用と私用を買う | 全部が同じ科目になる |
| 名前の似た別の取引先 | 取引先を取り違える |
| 振込手数料が引かれた入金 | 売掛金が消え残る |
| 相殺のある入金 | 金額が合わない |
| 年をまたぐ費用 | 期間の按分がされない |
| 資産になる購入 | 消耗品費で処理されてしまう |
最後の行は影響が大きい部分です。10万円以上のものは減価償却の対象になりますが、ソフトが自動で判定してくれるとは限りません。
金額と耐用年数を入れると、少額特例の判定と毎年の償却額がわかります。
自動化できない判断
次のものは、割合や区分を自分で決める必要があります。ソフトは決めた内容で計算するだけです。
- 家事按分の割合……面積や使用実態から自分で決める
- 経費になるかどうか……仕事のために必要だったかは人が判断する
- 勘定科目の方針……毎年同じ科目にそろえる
- 消費税の税率区分……軽減税率の対象かどうか
品目名を入れると、経費になるか・按分が必要か・どの科目かがわかります。
月末に見るところ
毎月これだけ確認しておけば、決算のときに慌てません。
- 現金と預金の残高が実際と合っているか
- 売掛金が入金済みなのに消え残っていないか
- 買掛金・未払金が払い済みなのに残っていないか
- 未確定・要確認のまま放置された取引がないか
- 見慣れない大きな金額の仕訳がないか
残高が合っていれば、細かい科目の誤りがあっても致命傷にはなりません。逆に残高が合っていない状態を放置すると、どこで狂ったかを後から特定できなくなります。
保存のしかたにも要件があります
レシートを撮影して捨てる運用にする場合、電子帳簿保存法の要件を満たす方法で保存する必要があります。ソフトが対応していても、設定によっては要件を満たさないことがあります。
電子取引データの保存に対応できているかを数問で確認できます。
任せる範囲の決め方
| 任せてよい | 自分で見る | |
|---|---|---|
| 繰り返しの取引(家賃・通信費) | ○ | |
| 定型の売上入金 | ○ | |
| 高額な購入 | ○ | |
| 私用と混ざる支出 | ○ | |
| 期をまたぐ処理 | ○ | |
| 残高の確認 | ○ |
税理士に相談すべきライン
記帳の作業は軽くなっても、判断が分かれる処理や税務上の選択は人が決める必要があります。金額が大きい資産の処理、按分の割合、消費税の課税区分に迷うときは、税理士に相談してください。
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参考にした一次情報(出典)
本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。
よくある質問
会計ソフトの自動仕訳はそのまま使ってよいですか?
便利ですが、そのままにせず確認が必要です。勘定科目の推測は過去の登録内容にもとづくため、最初に間違えた科目を学習し続けることがあります。
どんな取引で間違えやすいですか?
同じ店で仕事用と私用の両方を買う場合、similar な名称の別取引、振込手数料や相殺のある入金、年をまたぐ費用などです。
家事按分も自動でできますか?
按分の割合そのものは自分で決める必要があります。ソフトは決めた割合で計算はできますが、割合が妥当かどうかは判断しません。
何を確認すればよいですか?
月末に、現金と預金の残高が実際と合っているか、売掛金と買掛金が消え残っていないか、未確定の取引が残っていないかを見ます。
レシートを撮影すれば保存は済みますか?
電子帳簿保存法の要件を満たす方法で保存する必要があります。要件を満たしているかはソフトの案内を確認してください。
AIに任せれば税理士は不要ですか?
記帳の作業は軽くなりますが、判断が分かれる処理や税務上の選択は人が決める必要があります。金額が大きい判断は専門家に相談してください。
個人事業主・法人の税務を、AIと無料ツールでやさしく。出典と更新日を明記し、税理士監修を進めています。
本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。