翻訳の消費税|海外クライアントの売上は輸出免税になる?
海外のクライアント向けの翻訳は輸出免税の対象になることがあります。ただし例外もあり判断が分かれます。1,000万円の判定への影響、簡易課税の第5種、インボイスの必要性まで解説します。
翻訳・通訳の消費税でいちばん迷うのは、海外クライアントの売上をどう扱うかです。ここを整理します。
海外向けは輸出免税になることがあります
非居住者(海外の会社や個人)に対する役務の提供は、輸出免税の対象になることがあります。輸出免税になると、その売上に消費税を乗せません。
ただし例外があります。国内において直接便益を享受するものは輸出免税から除かれます。たとえば「海外の会社からの発注だが、実質的には日本国内での活動のために使われる」といったケースでは、判断が分かれることがあります。
「輸出免税」と「非課税」は別物
よく混同されますが、この2つは仕入税額控除の扱いが正反対です。
| 輸出免税 | 非課税 | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 税率0%の課税取引 | 課税の対象外 |
| 売上に消費税 | 乗せない | 乗せない |
| 対応する仕入の控除 | できる | できない |
| 1,000万円の判定 | 含める | 含めない |
海外向けが中心の翻訳者は、売上に消費税を乗せないのに、仕入の消費税は控除できるため、本則課税では還付になることがあります。
1,000万円の判定には含まれます
ここは間違えやすい点です。輸出免税は「税率0%の課税取引」なので、免税売上も課税売上高に含めて1,000万円を判定します。
「海外の仕事ばかりだから消費税は関係ない」と思っていると、基準期間(2年前)の課税売上が1,000万円を超えて課税事業者になっていた、ということが起こり得ます。
簡易課税は第5種
簡易課税を選ぶ場合、翻訳・通訳はサービス業として**第5種(みなし仕入率50%)**に区分されるのが一般的です。
ただし海外向けの売上が多い場合は、本則課税のほうが有利になることがあります。免税売上に対応する仕入の消費税を控除できるためです。金額で比べてから決めましょう。
売上と仕入を入れると、本則・簡易・2割特例の納税額を比べられます。
海外のソフトを買ったとき
翻訳支援ソフトやクラウドサービスを海外の事業者から購入する場合、取引の区分によっては買手が申告するリバースチャージの対象になることがあります。
事業者向けの取引かどうか、提供元が国外事業者かどうかで扱いが変わるため、請求書の記載や提供元の案内を確認してください。判断に迷う場合は税理士にご相談ください。
インボイスの登録
- 国内のエージェント・法人からの受注が多い……登録番号を求められることがある
- 海外クライアントが中心……相手は日本の仕入税額控除をしないため、必要性は低め
登録を機に課税事業者になった場合は、納税額を売上の消費税の2割にできる2割特例が使えることがあります。
対象かどうかと、納税額の目安を数問で確認できます。
税理士に相談すべきライン
海外取引の割合が大きいとき、輸出免税に当たるかの判断に迷うとき、本則課税で還付を受けられそうなときは、税理士に相談して方針を決めておくと確実です。
あわせて読みたい: 翻訳・通訳の確定申告|源泉徴収される仕事とされない仕事 / インボイス制度 まるわかりガイド
参考にした一次情報(出典)
本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。
よくある質問
海外のクライアントへの翻訳に消費税はかかりますか?
非居住者に対する役務の提供として輸出免税の対象になることがあります。ただし国内において直接便益を享受するものは除かれるため、案件の内容によって判断が分かれます。
輸出免税だと売上は1,000万円の判定に入りませんか?
入ります。輸出免税は「税率0%の課税取引」という位置づけで、非課税とは違います。免税売上も課税売上高に含めて1,000万円を判定します。
輸出免税と非課税は何が違いますか?
輸出免税は税率0%の課税取引なので、対応する仕入の消費税を控除できます。非課税は課税の対象外なので、対応する仕入の消費税は控除できません。この差は本則課税で効いてきます。
翻訳の簡易課税は何種ですか?
サービス業として第5種(みなし仕入率50%)に区分されるのが一般的です。事業の内容によって区分が変わることがあるため、迷う場合は税理士にご確認ください。
海外のソフトを買った場合の消費税はどうなりますか?
海外の事業者から電気通信利用役務の提供を受ける場合、取引の区分によっては買手が申告するリバースチャージの対象になることがあります。請求書の記載や提供元の案内を確認してください。
インボイスの登録は必要ですか?
国内のエージェントや法人からの受注が多い場合は求められることがあります。海外クライアントが中心なら必要性は低めです。売り先の顔ぶれで判断しましょう。
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本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。