美容師の独立開業ガイド——届出・資金・初年度の税務
美容師が独立するときに必要な届出を、税務署・保健所・社会保険の順に整理。内装や設備の経費の扱い、開業前の支出、初年度の申告までをまとめます。
美容師の独立には、税務署への届出だけでなく保健所の手続きも必要です。やることを順番に並べておくと、開業直前にあわてずに済みます。
開業までの手続き(3つの窓口)
税務署
- 開業届……事業を始めた日から1か月以内が原則。
- 青色申告承認申請書……原則その年の3月15日まで(1月16日以降の開業なら開業から2か月以内)。
- 給与支払事務所等の開設届出書……スタッフを雇う場合。
- 青色事業専従者給与に関する届出書……家族に手伝ってもらい給与を払う場合。
保健所
店舗を構える場合は美容所開設届の提出と、施設の検査が必要です。作業室の面積、器具の消毒設備、換気などに基準があります。検査を受けてからでないと営業できないため、内装工事のスケジュールと合わせて逆算しておきます。
年金事務所・市区町村
勤務先の社会保険から、国民健康保険・国民年金へ切り替えます。前の勤務先の健康保険を任意継続する選択肢もあり、こちらは退職から20日以内が期限です。保険料を比べて有利なほうを選ぶのが一般的です。
開業届と青色申告承認申請書の記入例をつくれます。氏名やマイナンバーの入力は不要です。
内装・設備の費用
独立時にまとまった支出が発生する部分です。10万円以上のものは原則として減価償却の対象になります。
- 内装工事……工事の内容によって耐用年数が変わります。見積書の内訳(電気工事、造作、給排水など)を残しておくと処理がしやすくなります。
- シャンプー台・セット椅子・スチーマー……備品として償却します。
- 10万円未満の道具……買った年に全額経費にできます。
- 30万円未満……青色申告をしている中小事業者なら、年間300万円まで買った年に全額計上できます。
開業前に使ったお金
物件探しの交通費、名刺やチラシの作成費、開業前の研修費などは開業費として資産に計上し、任意のタイミングで経費にできます。利益が出た年にまとめて計上することもできるため、開業前の領収書も必ず保管しておいてください。
ただし10万円以上の備品は開業費ではなく減価償却の対象になります。
事業用の口座とレジ
生活費と事業のお金を分けると、記帳が格段に楽になります。屋号名義の口座を開設できる金融機関もあります。キャッシュレス決済を導入する場合は、入金のタイミングと手数料も把握しておきます。決済手数料は必要経費になります。
初年度の申告で気をつけること
- 開業した年は売上が伸びにくく、赤字になることもあります。青色申告なら赤字を3年繰り越せるため、申告しておく価値があります。
- 材料(カラー剤・パーマ液など)は、年末に残った分を棚卸資産として翌年に繰り越します。
- 開業から2年間は消費税の免税事業者になるのが原則です。ただしインボイスの登録をすると課税事業者になります。
税理士に相談すべきライン
スタッフを雇う、複数店舗を考えている、内装に大きな投資をした、法人化を検討している——こうした場合は早めに税理士へ相談すると安心です。
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参考にした一次情報(出典)
本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。
よくある質問
保健所への届出も必要ですか?
店舗を構えて美容業を営む場合は、美容所開設届の提出と検査が必要です。税務署への届出とは別の手続きなので、開業スケジュールに組み込んでおいてください。
内装工事の費用はその年の経費になりますか?
10万円以上のものは原則として減価償却の対象です。工事の内容によって耐用年数が異なるため、見積書の内訳を残しておくと処理がしやすくなります。
開業前に買ったものは経費になりますか?
開業のために支出した費用は開業費として資産に計上し、任意のタイミングで経費にできます。10万円以上の備品は減価償却の対象になります。
勤務時代の健康保険は続けられますか?
前の勤務先の健康保険を任意継続する方法があります。退職から20日以内という期限があるため、国民健康保険の保険料と比べて早めに判断してください。
面貸しから始める場合も開業届は必要ですか?
事業として継続的に行うなら必要です。席料を経費にでき、青色申告の特典も使えるようになります。
シャンプー台などの設備はいくらから減価償却ですか?
10万円以上が原則です。青色申告をしている中小事業者は、30万円未満のものを年間300万円まで買った年に全額計上できる特例があります。
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本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。