デザイナーの確定申告|報酬から税金が引かれる理由
デザインの報酬は源泉徴収の対象です。同じ制作の仕事でもエンジニアとは扱いが違う理由と、引かれた分を確定申告で精算する手順をやさしく解説します。
デザイン料を請求したのに、入金が1割ほど少ない——これは取引先が源泉徴収をしているためです。差し引かれた分は、あなたの所得税の前払いとして税務署に納められています。
デザインとプログラムでは扱いが違います
同じ「制作」の仕事でも、税務上の扱いは同じではありません。
| 報酬の内容 | 源泉徴収 |
|---|---|
| デザインの報酬 | 対象 |
| 原稿料・さし絵の報酬 | 対象 |
| 著作権の使用料 | 対象 |
| プログラムの開発費 | 原則として対象外 |
| サーバーの保守・運用 | 原則として対象外 |
エンジニアの知り合いが「引かれたことがない」と言うのは、こういう理由です。デザインは源泉徴収の対象として定められている一方、プログラムの開発は原則として対象外だからです。
いくら引かれるのか
1回の支払いが100万円以下なら10.21%、100万円を超える部分は**20.42%**です。30万円の制作費なら30,630円、150万円のロゴ・ブランディング一式なら20万4,200円が引かれます。
報酬額を入れると、引かれる税額と手取りがその場でわかります。
デザインとコーディングをまとめて請求したら
Web制作では、デザインとコーディングを一括で請け負うことがよくあります。この場合、請求の内容によって扱いが変わることがあります。
取引先によって「全額から引く」「デザイン分だけ引く」「引かない」と対応が分かれ、混乱のもとになります。見積書と請求書で内訳を分けておくと、双方が処理しやすくなります。
- デザイン費 …… ◯◯円
- コーディング費 …… ◯◯円
- ディレクション費 …… ◯◯円
内訳を分けても、あなたの最終的な所得は変わりません。変わるのは前払いする税額と、その分の資金繰りです。
引かれても引かれなくても、収入は収入
源泉徴収をする義務があるのは、原則として法人と、人を雇っている個人事業主です。そのため、
- 企業・制作会社からの依頼……引かれることが多い
- 個人事業主のお客さまからの依頼……引かれないことがある
- クラウドソーシング経由……サービスの規約によって分かれる
という違いが出ます。引かれるかどうかは相手の事情で決まるもので、引かれていない報酬も当然に収入です。両方を合わせて1年分を集計してください。
前払いと本来の税金の差を見てみる
源泉徴収は経費や控除を考えずに報酬額だけで計算されます。デザイナーは、所得がある程度あっても前払いのほうが多くなりやすい仕事です。
計算例(令和8年分・数字は仮のもの): 企業からのデザイン報酬が年500万円(源泉徴収51万500円)、パソコン・ソフト・フォント・外注費などの経費が150万円、青色申告特別控除65万円、社会保険料控除70万円の場合。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 事業所得(500万円−150万円−65万円) | 285万円 |
| 課税所得(285万円−基礎控除104万円−70万円) | 111万円 |
| 本来の所得税(111万円×5%×1.021) | 5万6,665円 |
| 前払いした源泉徴収 | 51万500円 |
| 確定申告で戻る額 | 約45万円 |
源泉徴収の10.21%は、所得税の税率でいえば10%の段階に当たります。所得税率が5%の段階にとどまる人は、その差がそのまま戻ってきます。
1年間の利益を入れると、所得税・住民税・手取りの目安がわかります。
税理士に相談すべきライン
取引先ごとに源泉徴収の扱いがばらばらで集計が複雑なとき、売上が大きくなってきたとき、消費税の課税事業者になりそうなときは、税理士に相談すると安心です。
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参考にした一次情報(出典)
本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。
よくある質問
デザインの報酬から税金が引かれるのはなぜですか?
デザインの報酬は源泉徴収の対象と定められているためです。支払う側があらかじめ所得税を差し引いて国に納めており、確定申告で精算します。
エンジニアの友人は引かれていないと言います。違いは何ですか?
デザインの報酬は源泉徴収の対象とされている一方、プログラムの開発費は原則として対象外です。同じ制作の仕事でも根拠となる区分が違うためです。
デザインとコーディングをまとめて請求した場合は?
請求の内容によって扱いが変わることがあります。支払う側がどう判断するかにもよるため、内訳を分けて請求すると双方が処理しやすくなります。
いくら引かれますか?
1回の支払額が100万円以下なら10.21パーセント、100万円を超える部分は20.42パーセントです。所得税に復興特別所得税が上乗せされた率です。
引かれていない取引先もあります。どうすればよいですか?
源泉徴収の義務があるのは原則として法人と、人を雇っている個人事業主です。引かれていない報酬も収入として申告し、合算して計算します。
引かれた分は戻ってきますか?
源泉徴収は経費を考えずに報酬額だけで計算されるため、経費が多い人ほど前払いが多すぎる状態になります。確定申告をすると差額が還付されることがあります。
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本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。