事業を引き継いだときの手続き|青色申告は引き継げない
親の事業を引き継ぐとき、青色申告の承認は自動的に引き継がれません。申請の期限が亡くなった時期によって変わるため、早めの確認が必要です。
親や配偶者の事業を引き継ぐとき、税務上は「新しく事業を始めた人」として扱われます。前の事業主の立場をそのまま引き継げるわけではありません。
青色申告承認申請の期限
通常、青色申告の承認申請は「その年の3月15日まで」または「開業から2か月以内」です。ところが亡くなった方の事業を引き継ぐ場合は、別の期限が決められています。
| 亡くなった日 | 申請の期限 |
|---|---|
| 1月1日 〜 8月31日 | 死亡の日から4か月以内 |
| 9月1日 〜 10月31日 | その年の12月31日 |
| 11月1日 〜 12月31日 | 翌年の2月15日 |
期限が土日祝日にあたる場合は、翌開庁日まで延びます。
年末に近いほど期限が短くなる点に注意してください。11月に亡くなった場合、翌年2月15日までしかありません。相続の手続きに追われている時期と重なるため、うっかりしやすい部分です。
承認を受けたあと、65万・55万・10万のどれになるかを判定できます。
そのほかの届出
事業を引き継ぐと、引き継ぐ人自身の手続きが必要になります。
- 事業を始めたことの届出(個人事業の開業・廃業等届出書)
- 青色申告承認申請書(上記の期限)
- 青色事業専従者給与に関する届出書(家族に給与を払うなら)
- 給与支払事務所等の開設届出書(従業員がいるなら。1か月以内)
- 消費税の各種届出(該当する場合)
亡くなった方の側でも、廃業にあたる手続きが必要になります。提出する書類と期限は様式ごとに決まっているので、国税庁の手続案内か税務署で確認してください。
開業届や青色申告承認申請書の記入例を作成できます。提出はご自身で行ってください。
引き継いだ設備の扱い
相続で取得した減価償却資産は、買い直したことにはなりません。亡くなった方の取得価額と、まだ償却していない残額(未償却残高)を引き継いで計算を続けるのが原則です。
そのため、
- 亡くなった方の減価償却の記録(固定資産台帳)が必要
- いつ、いくらで取得したかがわからないと計算できない
ということになります。帳簿や固定資産台帳がどこにあるかを、早い段階で確認してください。会計ソフトを使っていた場合は、そのデータも重要です。
消費税には特別な決まりがあります
消費税を納める義務があるかどうかは、通常は基準期間(原則2年前)の課税売上高で判定します。ところが相続があった場合、亡くなった方の課税売上高を加えて判定する特別な決まりがあります。
自分の売上だけを見ると1,000万円以下でも、引き継いだ事業を含めると課税事業者になる、ということが起こりえます。事業の規模が大きい場合は、必ず確認してください。
引き継ぐか決まっていなくても相談を
相続の話し合いがまとまっていない段階でも、期限は待ってくれません。とくに青色申告の承認申請は、過ぎるとその年は白色申告になり、65万円の控除も赤字の繰越も使えなくなります。
事業を続ける可能性があるなら、早めに税務署や税理士に相談してください。
税理士に相談すべきライン
事業の規模が大きいとき、相続税がかかりそうなとき、相続人が複数いて分け方が決まっていないとき、消費税の判定に迷うときは、税理士に相談することをおすすめします。相続そのものの手続きについては、弁護士や司法書士が窓口になることもあります。
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参考にした一次情報(出典)
本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。
よくある質問
親の青色申告はそのまま引き継げますか?
引き継げません。青色申告の承認は個人ごとのものなので、引き継ぐ人が自分で承認申請をする必要があります。
青色申告承認申請の期限はいつですか?
亡くなった日によって変わります。1月1日から8月31日なら死亡の日から4か月以内、9月1日から10月31日ならその年の12月31日、11月1日から12月31日なら翌年2月15日です。
開業届も必要ですか?
事業を引き継いで新たに事業主になるため、届出が必要です。提出する書類と期限は国税庁の案内でご確認ください。
引き継いだ設備の減価償却はどうなりますか?
相続で取得した減価償却資産は、亡くなった方の取得価額と未償却残高を引き継いで計算するのが原則です。買い直したことにはなりません。
消費税はどうなりますか?
相続があった年やその翌年以降の納税義務の判定には特別な決まりがあり、亡くなった方の課税売上高を加えて判定することがあります。金額が大きい場合は確認してください。
引き継ぐかどうか決まっていません。
期限が短いため、決まっていなくても早めに税務署や税理士に相談してください。青色申告の承認申請は期限を過ぎると、その年は白色申告になります。
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本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。