同人誌・グッズの売上|委託販売と在庫の考え方
イベントでの売上、書店委託、電子書籍。売り方によって「いつの売上か」も「在庫をどう数えるか」も変わります。年末にやることまでやさしく解説します。
同人誌やグッズの売上は、売り方によって記録のしかたが変わります。イベント・委託・電子で分けて整理します。
売り方で変わる3つのパターン
| 売り方 | 売上に数える時点 | 気をつけること |
|---|---|---|
| イベントで直接 | その日 | 現金なので記録が残りにくい |
| 書店・サイトへ委託 | 売れた時点 | 入金は後日。明細で確認 |
| 電子書籍・ダウンロード | 金額が確定した時点 | 管理画面で確定額を確認 |
委託販売でつまずきやすいのが「入金された月ではなく、売れた月」という点です。11月に売れて翌年1月に入金された分は、11月の年の売上になります。
イベントの現金売上
通帳に入らないお金も当然に売上です。記録がないと申告の根拠が弱くなります。
- イベントの日付と名称
- 頒布物ごとの頒布数
- 金額の合計
- 釣り銭の準備金と、終了後の残額
その場でメモを取るのが難しければ、イベント終了直後に写真とメモを残す習慣にしてください。あとから思い出すのは困難です。
印刷した本は「在庫」になります
ここがいちばん誤解されやすい点です。印刷費の全額が、印刷した年の経費になるわけではありません。
経費になるのは売れた分だけで、残っている分は棚卸資産として翌年に繰り越します。
その年の原価 = 年初の在庫 + その年の印刷費 − 年末の在庫
例: 500部を10万円で印刷(1部200円)、年内に300部売れて200部残った場合
- その年の原価 …… 300部 × 200円 = 6万円
- 翌年に繰り越す在庫 …… 200部 × 200円 = 4万円
印刷費は10万円でも、その年の経費は6万円ということになります。
年末にやること
12月31日時点で、次の手順で数えます。
- 残っている部数を数える(種類ごと)
- 1部あたりの原価をかける(印刷費 ÷ 印刷部数)
- 棚卸表を作る(品名・数量・単価・金額)
- 保管する(申告書には金額だけ書き、表は手元に)
売れ残って実際に処分した分は、その事実を記録しておけば在庫から外せます。廃棄の日付・数量・理由を残してください。
棚卸を含めた帳簿をつけていれば、65万円の控除が狙えます。要件を数問で判定します。
経費になるもの
- 印刷費……売れた分が原価、残りは在庫
- イベント参加費・サークル参加費……その年の経費
- 交通費・宿泊費……イベント参加のためのもの
- グッズの製作費……本と同じく在庫の考え方
- 画材・液晶タブレット・ソフト……金額により資産
- 委託先への手数料……支払手数料
- 搬入・発送の送料……荷造運賃
品目名を入れると、経費になるか・按分が必要か・どの科目かがわかります。
税理士に相談すべきライン
在庫の金額が大きくなってきたとき、売上が1,000万円に近づいたとき、事業所得か雑所得かの判断に迷うときは、税理士に相談すると安心です。
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参考にした一次情報(出典)
本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。
よくある質問
イベントの現金売上も申告が必要ですか?
必要です。通帳に入らないお金も当然に売上です。イベントごとに頒布数と金額を記録し、集計してください。
書店委託の売上はいつ計上しますか?
原則として売れた時点です。入金は締め日を経て翌月以降になることが多いため、明細で売れた月を確認して集計します。
印刷した本が売れ残っています。どう扱いますか?
売れた分だけが原価になり、残っている分は棚卸資産として翌年に繰り越します。印刷費の全額がその年の経費になるわけではありません。
在庫はどうやって数えますか?
12月31日時点の残部数を数え、1部あたりの印刷費をかけて金額を出します。数えた記録を棚卸表として保管してください。
売れ残って処分した分はどうなりますか?
実際に廃棄した場合は、その事実を記録しておけば在庫から外せます。廃棄の日付・数量・理由を残してください。
電子書籍のロイヤリティはいつの収入ですか?
原則として金額が確定した時点です。プラットフォームの管理画面で確定額を確認し、年末時点の累計を記録しておいてください。
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本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。