動画クリエイターの経費——機材・企画費・衣装の線引き
カメラや編集ソフトは経費になりますが、企画で使った商品やゲーム、衣装は判断が分かれます。動画制作ならではの経費の考え方と、説明できる状態の作り方を解説します。
動画制作は、趣味と仕事の境目があいまいになりやすい分野です。「これは経費になる?」の判断を、機材・企画費・衣装・スペースの順に整理します。
判断の軸は「事業に必要だったと説明できるか」
必要経費は「売上を得るために直接かかった費用」です。動画クリエイターの場合、その支出が動画制作のためだったことを示せるかが分かれ目になります。
領収書だけでなく、「どの企画で使ったか」を残しておくと説明しやすくなります。企画メモと公開した動画のURLを対応づけておく、撮影で使っている様子が動画に映っている、といった形です。
機材は金額で処理が変わります
カメラ・マイク・照明・パソコンなどは、金額によって扱いが分かれます。
- 10万円未満……買った年に全額経費にできます。
- 20万円未満……3年で均等に償却する一括償却資産が選べます。
- 30万円未満……青色申告をしている中小事業者は、年間300万円まで買った年に全額計上できます。
- 30万円以上……減価償却で耐用年数に応じて分割します。
取得価額と耐用年数を入れると、少額特例の判定と年ごとの償却額がわかります。
ソフト・サブスクの扱い
- 買い切りの編集ソフト……10万円以上は無形固定資産として原則5年で償却します。
- 月額・年額のサブスク……その期間の費用として計上します。
- BGM・効果音・素材の利用料……使った期間の費用にします。
- サムネイル制作の外注費……外注費として計上します。
企画費が動画クリエイター特有の論点
企画のために買った商品・食材・入場料などは、実際に動画で使ったことを示せるかが判断の軸になります。
- 開封動画のために買った商品……その動画で使っていれば計上しやすくなります。
- 食べ物の企画で買った食材……同様です。ただし残りを私的に消費した分は按分の対象になります。
- ゲーム実況のゲームソフト……業務との関連を説明できる範囲で計上できます。
- 旅行企画の交通費・宿泊費……取材・撮影が主目的であることを示せるかが分かれ目です。観光の要素が強いと難しくなります。
衣装・小道具
企画専用の衣装やコスチューム、撮影用の小道具は計上しやすい支出です。一方、私服としても着られる服は、日常でも使えるため判断が分かれます。制服のように事業でしか使わないと説明できるものが基準になります。
自宅を撮影スペースにしている場合
自宅の一部を撮影や編集に使っているなら、家事按分で事業分だけを計上します。
- 家賃……撮影・編集に使う部屋の面積割合
- 電気代……照明や機材の使用時間
- 通信費……アップロードや調査での使用割合
割合そのものに決まった正解はありませんが、面積や使用時間など根拠のある基準で計算し、毎年同じ基準を使い続けることが説明のしやすさにつながります。
税理士に相談すべきライン
収入が大きくなってきた、企業案件が増えて処理が複雑になった、法人化を考えている、海外プラットフォームからの入金で消費税の扱いに迷う——こうした場合は税理士に相談すると安心です。
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参考にした一次情報(出典)
本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。
よくある質問
ゲームソフトやゲーム機は経費になりますか?
ゲーム実況など、業務との関連を説明できる範囲で計上できます。私的な利用と重なる場合は按分するか、対象から外す判断も必要です。
企画で買った食材や商品は経費になりますか?
その企画のために購入し、実際に動画で使ったことを示せるなら計上できます。企画メモと公開した動画を対応づけて残しておくと説明しやすくなります。
衣装は経費にできますか?
企画専用の衣装やコスチュームは計上しやすい一方、私服としても着られるものは判断が分かれます。
30万円のカメラはどう処理しますか?
10万円以上なので原則は減価償却です。ただし青色申告をしている中小事業者は、30万円未満のものを年間300万円まで買った年に全額計上できる特例があります。
自宅の一部を撮影スペースにしています。
仕事に使う面積の割合で家賃や電気代を按分できます。割合の根拠を説明できるようにしておいてください。
編集を外注した費用は経費になりますか?
なります。外注費として計上します。継続的に依頼する場合は、外注費か給与かの区別にも注意が必要です。
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本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。