楽器と機材の経費|ヴィンテージ楽器は償却できる?
楽器は金額によって経費の落とし方が変わります。年数をかけて費用にする方法と、価値が下がらない楽器の扱い、スタジオ代や移動費までやさしく解説します。
ミュージシャンの経費で金額が大きいのが楽器と機材です。ここは買った金額と、場合によっては楽器の性質によって処理が変わります。
まず金額で分かれます
| 取得価額 | 処理 |
|---|---|
| 10万円未満 | その年に全額を経費(消耗品費など) |
| 10万円以上 20万円未満 | 3年で均等に分ける方法も選べる |
| 30万円未満 | 青色申告なら全額を経費にできる特例(年間300万円まで) |
| 30万円以上 | 減価償却で耐用年数にわたって分ける |
判定は1つの資産ごとです。エフェクターを何個も買った場合、合計では大きくても1個ずつが10万円未満なら、その年に全額を経費にできます。
金額と耐用年数を入れると、少額特例の判定と毎年の償却額がわかります。
価値が下がらない楽器の扱い
ここが音楽の仕事に特有の論点です。減価償却は「時の経過とともに価値が減っていく」ことを前提にした仕組みです。
ところが楽器の中には、古いほど価値が上がるものがあります。骨董的な価値があり、時の経過によって価値が減らないと認められる資産は、償却できない資産として扱われることがあります。
実務では、演奏に使う道具として通常どおり償却するケースが多い一方、極端に高額なものについては扱いが分かれます。金額が大きい楽器を買うときは、購入前に税理士に確認しておくと安心です。
中古楽器は短い年数で落とせます
中古の楽器や機材には「簡便法」という計算があり、新品より短い年数にできます。
- 法定耐用年数をすべて過ぎている……法定耐用年数 × 20%
- 一部が過ぎている……(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%
どちらも1年未満は切り捨て、2年が下限です。購入日と製造時期がわかる資料を残しておくと、経過年数の根拠になります。
楽器以外の経費
- スタジオ代・リハーサル費用……賃借料
- 弦・スティック・リード・メンテナンス代……消耗品費・修繕費
- 移動費・機材の運搬費……旅費交通費。自家用車なら按分
- ステージ衣装……ステージ専用のものは経費
- 音源制作費・ジャケットのデザイン費……外注費
- 配信サービスの登録料・サブスク型ソフト……支払手数料・通信費
- 楽器の保険……損害保険料
品目名を入れると、経費になるか・按分が必要か・どの科目かがわかります。
練習は仕事か、趣味か
自分の技術を上げるための練習と、仕事のためのリハーサルは、線引きが難しい部分です。
特定の仕事のためのリハーサルは経費にしやすい一方、日常的な自主練習は個人に帰属するものとされやすくなります。スタジオを予約したときは、何のための利用かをメモに残しておくと説明しやすくなります。
税理士に相談すべきライン
高額な楽器を買うとき、機材をローンやリースで導入したとき、事業と趣味の線引きに自信がないときは、購入前に税理士に相談すると安心です。
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参考にした一次情報(出典)
本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。
よくある質問
楽器は一括で経費にできますか?
取得価額が10万円未満なら、その年に全額を経費にできます。10万円以上は原則として減価償却になりますが、青色申告なら30万円未満まで一括で経費にできる特例があります。
高価な楽器は何年で償却しますか?
楽器は器具備品として耐用年数にわたって償却するのが原則です。ただし骨董的な価値があり時の経過で価値が減らないと認められるものは、償却できない資産とされることがあります。
ヴィンテージ楽器は経費になりませんか?
購入費用がまったく経費にならないわけではなく、償却できない資産として扱われた場合、売却したときに取得費として使うことになります。判断が分かれるため、高額な場合は税理士に確認してください。
中古の楽器は何年で償却しますか?
中古資産は簡便法という計算で、新品より短い年数にできます。法定耐用年数をすべて過ぎている場合は法定耐用年数の20パーセント、一部が過ぎている場合は別の式で計算し、いずれも2年が下限です。
スタジオ代やリハーサル費用は経費になりますか?
仕事のための練習やリハーサルにかかる費用は経費になります。個人の趣味としての利用と分けて記録してください。
ステージ衣装は経費になりますか?
ステージ専用の衣装は経費にしやすい費用です。普段着としても着られる服は家事費とされやすく、判断が分かれます。
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本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。