経理を仕組みにする|毎月30分で終わらせる
確定申告がつらいのは、1年分を一度にやろうとするからです。口座を分ける、明細を取り込む、残高を合わせる。月に30分だけ回す形にする手順を具体的に解説します。
確定申告がつらいのは、1年分を一度にやろうとするからです。月に一度、30分だけ回す形にすれば、申告の時期にやることはほとんど残りません。
1. 口座とカードを分ける
これが土台です。事業用の口座とクレジットカードを1つずつ用意します。
分けると、
- 明細がそのまま帳簿の材料になる
- 通帳の残高と帳簿の残高を突き合わせられる
- 税務署に事業の入出金として説明できる
ようになります。私用と混ざっていると、毎月「これは仕事」「これは私用」と仕分ける作業が発生します。
屋号のつけ方と、口座・カードを分ける効果を解説しています。
2. 明細を自動で取り込む
会計ソフトを口座やカードと連携させると、明細が自動で取り込まれます。手入力する項目が減るほど、続けやすくなります。
ただし自動仕訳をそのまま信じないでください。過去の入力を真似しているだけなので、
- 最初に間違えた科目を学習し続ける
- 10万円以上の資産を消耗品費にしてしまう
- 私用と仕事用が混ざった支出を分けられない
といったことが起こります。
自動仕訳が間違えやすい場面と、任せる範囲の決め方を解説しています。
3. 月末に残高を合わせる
毎月これだけ確認します。5分から10分で終わります。
- 預金の残高が通帳と一致しているか
- 現金の残高が実際の手元と合っているか
- 売掛金が入金済みなのに消え残っていないか
- 未確定・要確認の取引が残っていないか
残高が合っていれば、細かい科目の誤りがあっても致命傷にはなりません。逆に合っていない状態を放置すると、どこで狂ったか特定できなくなります。
毎月やることの全体像
| やること | 目安の時間 |
|---|---|
| 明細を取り込む・確認する | 10分 |
| 現金で払った分を入力する | 5分 |
| 領収書を保存する | 5分 |
| 残高を合わせる | 10分 |
| 合計 | 30分 |
証憑の保存
領収書やレシートは、
- 紙のまま保存する(月ごとの封筒に入れるだけでも十分)
- または電子帳簿保存法の要件を満たす方法で電子保存する
のどちらかです。撮影して原本を捨てる運用にするなら、要件を満たしているか確認が必要です。
電子取引データの保存に対応できているかを数問で確認できます。
迷ったときのメモ
判断が分かれる支出があったら、その場でひと言メモを残してください。
- レシートの裏に「〇〇社と打ち合わせ」
- 会計ソフトの摘要欄に「△△の取材のため」
これだけで、数年後に説明できるようになります。あとから思い出すのは不可能に近い作業です。
品目名を入れると、経費になるか・按分が必要か・どの科目かがわかります。
年に一度だけやること
月次が回っていれば、年末年始にやることは限られます。
- 棚卸(在庫がある場合)
- **減価償却**の計上
- 家事按分の割合を確認する
- 各種控除の証明書を集める
- 決算書と申告書を作る
できない月があってもいい
完璧を目指すと続きません。忙しい月は、明細の取り込みと残高の確認だけでも構いません。それさえしておけば、翌月に追いかけられます。
止まってしまう最大の原因は「溜めたせいで手をつけられなくなること」です。小さく続けるほうが、結果として早く終わります。
税理士に相談すべきライン
売上が大きくなってきたとき、判断に迷う処理が増えてきたとき、消費税の課税事業者になりそうなときは、税理士に相談すると安心です。月次の記帳が整っていれば、相談も申告も短く済みます。
あわせて読みたい: 屋号と事業用口座 / 青色申告の完全ガイド
参考にした一次情報(出典)
本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。
よくある質問
経理はどれくらいの頻度でやるべきですか?
月に一度が現実的です。1年分をまとめてやろうとすると、記憶があいまいになり時間もかかります。
何から始めればよいですか?
事業用の口座とクレジットカードを分けるところからです。これだけで記帳の手間が大きく変わります。
会計ソフトは必要ですか?
義務ではありませんが、複式簿記の帳簿を自動で作れるため、青色申告特別控除を狙うなら実質的に必要になります。
月末に何を確認すればよいですか?
現金と預金の残高が実際と合っているか、売掛金や買掛金が消え残っていないか、未確定の取引がないかを見ます。
領収書はどう保存しますか?
紙のまま保存するか、電子帳簿保存法の要件を満たす方法で電子保存します。要件を満たさない撮影だけでは原本の保存が必要です。
忙しくてできない月はどうしますか?
完璧を目指さず、明細の取り込みと残高の確認だけでもしておいてください。それだけで後から追いかけられます。
個人事業主・法人の税務を、AIと無料ツールでやさしく。出典と更新日を明記し、税理士監修を進めています。
本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。