俳優・声優の経費|衣装とレッスン代はどこまで
この仕事は「自分を高める費用」と「生活の費用」の線引きが難しいものです。衣装・レッスン・美容にかかる費用について、判断の考え方をやさしく整理します。
この仕事の経費でいちばん難しいのが、「自分を高めるための費用」と「生活の費用」の線引きです。ここは白黒がはっきりしない部分が多いので、考え方から整理します。
判断の基準は「仕事のためだけか」
必要経費になるのは、その支出が仕事のために必要だったと説明できるものです。逆に、仕事をしていなくてもかかる支出は家事費とされます。
| 経費にしやすい | 家事費とされやすい | |
|---|---|---|
| 衣装 | 舞台・撮影専用の衣装 | 普段着としても着られる服 |
| 技能 | 特定の役のための特別な訓練 | 日常的な自己研鑽 |
| 身だしなみ | 役柄のために指定された変更 | 一般的な美容院・化粧品 |
| 移動 | 現場・オーディションへの交通費 | 私的な外出 |
衣装——「仕事専用」と言えるか
舞台衣装や、その役のために作った特殊な衣装は経費にしやすい費用です。一方、普段着としても着られる服は、たとえ撮影で着たとしても家事費とされやすくなります。
分かれ目になるのは、次のような点です。
- 仕事以外では着ていないと言えるか
- 現場で使った記録(写真・台本・スケジュール)があるか
- 保管場所を私服と分けているか
レッスン代——判断が分かれる代表例
ボイストレーニング、殺陣、ダンス、演技のレッスン。これらは判断が分かれる費用です。
一般に、すでにしている仕事に直接必要な技能を維持・向上させる費用は経費にしやすく、新しい能力を身につけて自分の価値を高める費用は個人に帰属するものとして家事費とされやすい、と整理されます。
たとえば「決まった舞台のために殺陣の指導を受けた」なら仕事との結びつきを説明しやすく、「いつか役に立つと思って通っている」だと説明しにくくなります。受講のきっかけと目的を記録しておいてください。
美容にかかる費用
もっとも認められにくい費目のひとつです。一般的な身だしなみのための美容院代・化粧品代は、仕事をしていなくてもかかる支出とされ、原則として家事費です。
役柄のために髪を切った・染めた・特殊メイクをしたといった場合は事情を説明できますが、その場合も指示があったことや役との関係を示せるようにしておく必要があります。
品目名を入れると、経費になるか・按分が必要か・どの科目かがわかります。
経費にしやすいもの
線引きが難しい費目ばかりではありません。次のようなものは説明しやすい経費です。
- オーディション・現場への交通費……旅費交通費
- 宣材写真の撮影費……広告宣伝費
- 台本の印刷・製本代……消耗品費
- 事務所へのマネジメント手数料……契約によっては支払手数料
- 仕事用の携帯電話・通信費……私用と兼ねるなら按分
- 収録用のマイク・機材……金額により資産
- 賠償責任保険・所得補償保険のうち事業に係るもの……内容による
記録の残し方
線引きが難しい仕事だからこそ、記録が説明の材料になります。
- レシートの裏に目的を書く(「◯◯の役作りのため」など)
- スケジュール帳と照らし合わせられるようにする
- 現場での写真や資料を残す
あとから思い出して説明するのは困難です。その場でひと言メモする習慣が、いちばん確実な備えになります。
税理士に相談すべきライン
経費にするか迷う支出の金額が大きいとき、収入が増えてきたとき、事務所との契約が変わったときは、税理士に相談すると安心です。判断が分かれる費目は、事前に確認しておくのが安全です。
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参考にした一次情報(出典)
本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。
よくある質問
衣装代は経費になりますか?
撮影や舞台のためだけに使う衣装は経費にしやすい費用です。普段着としても着られる服は家事費とされやすく、判断が分かれます。
ボイストレーニングのレッスン代は経費になりますか?
仕事に直接必要な技能を維持・向上させるための費用は経費にしやすい一方、個人の資質を高める費用は家事費とされることがあります。判断が分かれる部分です。
美容院代や化粧品代は経費になりますか?
役柄のために特別に必要な場合を除き、一般的な身だしなみのための費用は家事費とされるのが原則です。撮影のために指定された髪型にした場合など、事情を説明できるかがポイントです。
オーディションの交通費は経費になりますか?
仕事を得るための活動にかかる費用は経費になりえます。日付・場所・目的を記録しておいてください。
観劇や映画鑑賞は研究費になりますか?
仕事のための研究として説明できる範囲であれば経費になりえますが、娯楽との区別が難しく判断が分かれます。何のために観たかを記録しておくことが大切です。
経費にするか迷ったときはどうしますか?
金額が小さいのに指摘を受けるリスクを抱えるより、家事費としておくほうが安全なこともあります。金額が大きい場合は税理士に相談してください。
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本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。