防衛特別法人税とは?いつから・計算方法・中小企業への影響
令和8年4月1日以後に始まる事業年度から、法人税に加えて防衛特別法人税がかかります。法人税額から500万円を引いて4%。中小企業の多くは税額0円ですが、申告は必要です。いつから・いくら・どう申告するかをやさしく解説します。
会社(法人)には、法人税・地方法人税に加えて、**令和8年4月1日以後に始まる事業年度から「防衛特別法人税」**がかかります。防衛力強化の財源にあてるための税金です。
いつから?——決算月で最初の年が変わります
対象になるのは、令和8年4月1日以後に開始する事業年度です。決算月ごとに、最初の対象年度は次のとおりです。
| 決算月 | 最初の対象になる事業年度 | 最初の申告期限(原則) |
|---|---|---|
| 3月 | 令和8年4月〜令和9年3月 | 令和9年5月末 |
| 6月 | 令和8年7月〜令和9年6月 | 令和9年8月末 |
| 9月 | 令和8年10月〜令和9年9月 | 令和9年11月末 |
| 12月 | 令和9年1月〜令和9年12月 | 令和10年2月末 |
令和8年4月より前に始まった事業年度には、まだかかりません。
計算のしかた
- 基準法人税額を出す……その事業年度の法人税額です。所得税額控除・外国税額控除などを適用する前の金額を使います。
- 基礎控除500万円を引く……事業年度が1年に満たないときは「500万円÷12×月数」です。
- 4%を掛ける
計算例(中小法人・1年決算)
| 所得(年) | 法人税額の目安 | 防衛特別法人税の目安 |
|---|---|---|
| 1,000万円 | 166万4,000円 | 0円(500万円以下) |
| 2,000万円 | 398万4,000円 | 0円(500万円以下) |
| 3,000万円 | 630万4,000円 | 約5.2万円 |
| 1億円 | 2,254万4,000円 | 約70万円 |
法人税額は「800万円×15%+(所得−800万円)×23.2%」で出した目安です(所得が年10億円以下の中小法人)。実際の申告では、税額控除や端数処理で金額が変わります。
中小法人の15%・23.2%と、赤字でもかかる均等割、実効税率の考え方を解説しています。
0円でも申告が必要です
いちばん大事な注意点です。計算の結果、納める税額がなくても申告義務はなくならないため、いわゆる零申告をします。防衛特別法人税の申告書は、法人税・地方法人税の申告書の別表に欄が追加される形になります。
会計ソフトや申告ソフトが対応しているか、顧問税理士に依頼している場合は申告に含まれているかを、最初の対象年度の決算前に確認しておくと安心です。
申告と納付の期限
- 確定申告……原則として、事業年度が終わった日の翌日から2か月以内。法人税の確定申告と同じ時期です。
- 中間申告……法人税の中間申告をする法人は、防衛特別法人税の中間申告も必要です。ただし中間申告の規定は令和9年4月1日以後に開始する事業年度からです。
前期の法人税額と決算月から、中間申告が必要かと金額・期限がわかります。
納付のしかた
国税庁の案内では、次のように納付します。
- e-Taxで申告した場合……受信通知から納付情報を作り、ダイレクト納付・インターネットバンキング・クレジットカード・スマホアプリで納付できます。
- 納付書で納付する場合……税目番号欄に**「030」(グループ通算法人は「032」)、税目欄に「防衛特別法人税」**、納期等の区分欄に対象の課税事業年度を書きます。
個人事業主には関係ありますか?
防衛特別法人税は法人だけの税金です。個人事業主にはかかりません。なお個人の所得税については、令和9年1月から**防衛特別所得税(所得税額の1%)**が加わり、同時に復興特別所得税が2.1%から1.1%に下がります(合計は変わりません)。
税理士に相談すべきライン
法人税額が500万円の前後にある会社、グループ通算制度を使っている会社、税額控除を多く使っている会社は、基準法人税額の計算が複雑になります。最初の対象年度の決算前に、顧問税理士に確認しておくと安心です。
あわせて読みたい: 法人税率はいくら? / 法人の決算と申告 / 法人の中間申告
参考にした一次情報(出典)
本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。
よくある質問
防衛特別法人税はいつからですか?
令和8年4月1日以後に開始する事業年度からです。3月決算の会社なら令和8年4月から始まる事業年度(令和9年3月期)、12月決算の会社なら令和9年1月から始まる事業年度が最初になります。
税額はどう計算しますか?
その事業年度の法人税額(基準法人税額)から年500万円の基礎控除を引き、残った金額に4%を掛けます。法人税額が500万円以下なら税額は0円です。基準法人税額は、所得税額控除や外国税額控除などを適用する前の法人税額です。
税額が0円でも申告は必要ですか?
必要です。計算の結果、納める税額がなくても申告義務はなくならないため、いわゆる零申告をします。申告書は法人税・地方法人税の申告書の別表に欄が設けられる形です。
中小企業でも税額がかかりますか?
法人税額が500万円を超えるとかかります。資本金1億円以下の中小法人なら、所得がおよそ2,400万円を超えるあたりが目安です。それ以下なら税額は0円で、申告だけが必要です。
中間申告は必要ですか?
法人税の中間申告をする法人は、防衛特別法人税の中間申告も必要です。ただし中間申告の規定は令和9年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
申告と納付の期限はいつですか?
原則として、事業年度が終わった日の翌日から2か月以内です。法人税の確定申告と同じ時期です。
事業年度が1年未満のときはどうなりますか?
基礎控除の500万円を12で割り、その事業年度の月数を掛けた金額になります。設立1期目など事業年度が短いときは、基礎控除も小さくなります。
納付書ではどう書けばいいですか?
国税庁の案内では、税目番号欄に「030」(グループ通算法人は「032」)、税目欄に「防衛特別法人税」、納期等の区分欄に対象の課税事業年度を書きます。e-Taxで申告した場合は、受信通知から納付手続きができます。
個人事業主・法人の税務を、AIと無料ツールでやさしく。出典と更新日を明記し、税理士監修を進めています。
本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。