役員報酬の決め方|金額を動かせるのは年1回だけ
役員報酬は毎月同じ額でないと経費になりません。決め直せるのは事業年度の最初の3か月以内。この制約を知らずに動かすと、増やした分がまるごと経費から外れます。
法人にすると、自分への給与は役員報酬になります。ここには個人事業主のときにはなかった、強い制約があります。
定期同額給与
損金にできる役員給与の代表が定期同額給与です。要件は、
- 支給時期が1か月以下の一定の期間ごとであること
- 各支給時期における支給額が同額であること
つまり「毎月○日に○万円」を1年間続ける形です。「今月は利益が出たから多めに」はできません。
例: 月50万円で決めていたのに、9月だけ100万円払った場合
| 金額 | |
|---|---|
| 支給した合計 | 650万円 |
| 損金にできる | 600万円(月50万円×12) |
| 損金にならない | 50万円(上乗せ分) |
会社の経費にならないうえに、個人の給与としては課税されるため、二重に損をします。
変えられるのは年1回、最初の3か月以内
金額を決め直せるのは、原則として会計期間開始の日から3か月以内です。3月決算の会社なら、4月・5月・6月のうちに決めて、7月以降は動かせません。
そのため、事業年度が始まる前に1年分の見通しを立てる必要があります。
- 今期の売上と利益の見込みを立てる
- 会社に残す利益と、個人が受け取る報酬の配分を決める
- 社会保険料の負担も含めて手取りを確認する
- 最初の3か月以内に株主総会などで決議して記録を残す
会社の利益を入れると、税と社会保険の合計が小さくなる報酬額の目安がわかります。
3か月を過ぎても変えられる場合
例外として、次のような場合は期中の改定が認められることがあります。
- 役員の職制上の地位の変更など、やむを得ない事情があるとき
- 経営状況が著しく悪化したことによる減額改定
2つ目は「業績が悪いから減らす」ですが、単に思ったより利益が出ないという程度では認められにくいとされています。第三者との関係で減額せざるを得ないような事情が想定されています。
ボーナスを出したいとき
事前確定届出給与という制度があります。あらかじめ「いつ・いくら」を決めて届け出ておけば、その通りに支給した分は損金にできます。
金額はいくらでもよいわけではありません
不相当に高額な部分は損金になりません。判断の材料になるのは、
- 役員の職務の内容
- 会社の収益の状況
- 使用人への給与の支給状況
- 同規模・同業種の会社の役員給与の水準
といった点です。実態のない家族役員に高額な報酬を払う、といった形は問題になりやすい部分です。
「高くすれば節税」ではありません
役員報酬を上げると会社の経費は増えますが、その分だけ、
- 個人の所得税・住民税が増える(所得が上がるほど税率も上がる)
- 社会保険料が増える(会社と本人で折半)
ため、合計での有利不利は所得の水準によって変わります。会社と個人を合わせた負担で考えてください。
利益を入れると、個人のままと法人化のどちらが有利かを概算で比較できます。
税理士に相談すべきライン
事業年度が始まる前に相談するのが理想です。金額を決めたあとでは選択肢が限られます。役員が複数いる場合、家族を役員にする場合、業績の変動が大きい場合は、とくに事前の相談をおすすめします。
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参考にした一次情報(出典)
本記事の制度・数値は、次の国税庁の公表情報を参照しています。税率・控除額・要件は改正で変わるため、最新の内容は各ページ(一次情報)でご確認ください。
よくある質問
役員報酬は毎月変えてもよいですか?
いけません。定期同額給与といって、支給時期が1か月以下の一定期間ごとで、各支給時期の支給額が同額であることが必要です。途中で増額すると、増えた部分が損金になりません。
いつなら金額を変えられますか?
原則として、会計期間開始の日から3か月以内です。多くの会社では事業年度の初めに決めた金額を1年間続けることになります。
3か月を過ぎても変えられる場合はありますか?
役員の職制上の地位の変更などやむを得ない事情がある場合や、経営状況が著しく悪化したことによる減額改定の場合は、認められることがあります。
ボーナスは出せませんか?
事前確定届出給与という制度があります。あらかじめ支給の時期と金額を決めて届け出ておけば、その通りに支給した分は損金にできます。
金額はいくらでもよいですか?
不相当に高額な部分は損金になりません。職務の内容や会社の収益、同規模の会社の水準などから判断されます。
役員報酬を高くすれば節税になりますか?
会社の経費は増えますが、その分だけ個人の所得税・住民税と社会保険料が増えます。合計での有利不利は所得の水準によって変わります。
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本記事は一般的な解説であり、税務代理・税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。 税制は改正されます。最新の法令・通達と対象年度をご確認ください。